クルースニク
でも、とメイドは続けた。

「奥様のお部屋にお荷物は移しておりますから、何かお探しなら奥様のお部屋に行ってみたらいかがですか?」

俺は母の部屋へ向かった。



母の部屋に置いてある家具には全て白いシーツが掛かっていた。

こまめに掃除はしているらしく、怪我の元となる厄介なホコリは積もっていなかった。

「さぁて、鍵を探すとしましょうか、、、」

小さく呟き部屋を歩き回る。

不思議な事に初めて入ったのにもかかわらず、どれが父の物だか直ぐに判った。

ただの勘だけど、、、。

白いシーツを取る。

シーツの下から出てきたのは、机のみ。

箪笥とか本棚とかが出てくると思っていたので、探し回る手間が省けて良かったとホッとする。

机の上には本や資料、それに万年筆が転がっていた。

俺は引き出しへと手が伸びた。

左側の引き出しを開ける。

ゴロゴロと奥から万年筆が転がって来ただけで、それ以外は何も無かった。

今度は右側の引き出しを開けてみる。

中は空っぽだった。

次はその引き出しの下を上から順番に開けて行き、三つ目の引き出しの中から銀色に輝く鍵を見つけた。

俺はその鍵を握り締め、再び屋根裏部屋へと向かった。
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