クルースニク
「何故ここが判った」

低く掠れた声。

微かに息が生臭い。

「血の臭いがしたから」

「その様子だとお前は自分が何者か判っていないな?」

「どういう意味だ」

「いずれ判る時が来る。その時にはお前と二度と会う事は無いだろう」

そう言って男は背を向ける。

「お前には俺が何なのか判るのか?」

「あぁ、判っているとも。だがな、お前と会ってはならぬ存在なのだ」

さっきからこの男は何を言っているのか、俺には理解不能だった。

「、、、、、お前は何者だ?」

「私か?私は、、、、、、、ヴァンパイア」

男は風とともに消えていた。

ヴァンパイア。

それは俺の憧れの存在。

あの男が言っている事が本当ならば、もう一度会いたい。
< 17 / 26 >

この作品をシェア

pagetop