クルースニク
だが、おかしい。

ここよりも血の臭いが強い場所がある。

一体何処に、、、?

俺は廊下に出て別の部屋へ向かった。

階段を上がり、大きな扉を開く。

扉の向こう、、、それは外。

気がつくと俺は屋上に来ていた。

外の空気を吸い込む。

やはりココから血の臭いがする。

新鮮な血の、、、。

別の臭いもする。

でも、それが何だか解らない。



屋上を歩き回る。

そして見つけた女の死体。

その死体の隣には一人の男。

俺が感じる『別の臭い』は、あの男からのようだ。

月明かりに照らされて、男の顔が見えた。

俺は男の口元を見て自分の目を疑った。

男の口から血が流れている。

そしてその血を舐め、ニヤリと笑ったのだ。

鋭く尖った犬歯がキラリと光った。

男が俺に気付いた。

ゆっくりと此方に歩み寄ってくる。

逃げないと殺されてしまう。

そんな思いとは裏腹に体は動かない。

それに何故か恐怖心が無いのだ。

男が目の前まで来た。
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