たからもの

一時の幸せ

退院した次の日、私は少し早めに学校へ行った。

教室にはまだ誰もいなかった。

鞄を置いて、廊下を歩いていると、後ろから私を呼ぶ声がした。

振り返ると、千がいた。

「退院おめでとう!!話って?」

「ありがとう。うん…まあ…ベランダ行こうか?」

そう…私は千と話をするために早く学校へ来たのだ。

私と千はベランダに出ると、隣同士に腰をおろした。

沈黙の中、口を開いたのは私だった。

「千…私のことすき?」

「は?当たり前じゃん。だから今隣にいるんだろ?」

「そうだね…。私も千がだいすき。だからこそ聞いてほしい。」

「?」

千は眉間にしわを寄せながら聞いていた。

「これは嫌いだからとかじゃないからね。すきだからこそ、別れたいの。」

「え…っ?」

千は固まっている。
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