煌めきの瞬間



美穂ちゃんは本当に素直な子なんだね。

自分の気持ちをストレートに向けられるって凄いと思う。



美穂ちゃんの足音が消えた後、咲坂さんが教室に戻ってきた。



「ふぅ‥‥これで大丈夫だろう」


「あのっ、ありがとうございました」



頭を深く下げると、咲坂さんが慌てて口を開いた。


「そんなに頭下げることないよっ!
俺だって共犯みたいなもんだしさ」


「そうだよ春香。隼人にも責任あるある!」



顔を上げると、咲坂さんが笑顔を向けてくれた。


とても優しいその笑顔のおかげか、胸の高鳴りが少し静かになってくる。



咲坂さんは、なんだかお兄ちゃんみたい。

わたしには兄妹がいないけど、きっとこんなふうに頼りになるんだろうな‥‥。



さっきまで騒がしかった胸の中が、自然と安らいでいった。





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