煌めきの瞬間


「楓?」

「俺、教室で喰う」


咲坂さんの声に振り返らないまま答えた安藤さん。



急にどうしちゃったんだろう。



「あのっ、この焼きそばパンをどうぞ!」


山内くんが駆け寄ろうとした時、安藤さんが足を止めずに言った。


「俺、こういうの嫌いだから」


安藤さんの声はそれ程大きくなかったのに、勢いよくガシャンとシャッターを閉められたようだった。


一人スタスタと歩き進める安藤さん。

山内くんはショックを受けたせいか、その場に立ち尽くしてた。



「あいつ、急にどうしちまったんだろう」

「うん。なんか楓さんらしいような、らしくないような……」


美鈴と咲坂さんが顔を見合わせる。



「あの、大丈夫……?」


山内くんの傍に行って顔を見上げると、目に涙が浮かんでた。





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