Bad Girl~不良少女~



小さく呟いたうちの言葉に驚いたのか、腕の力を緩めてうちの顔を覗き込む。


「俺が…?」


ちょっと視線を外すために、顔を下げる。


「………。


小学校のころから、家が極道ってだけで怖がられて、まともに友達なんかいなかったし。まぁ、うちも割と乱暴だったけど。


それでも、聖華に出会うまで、うちはずっと一人だった。だけど、栗崎はうちの事怖がらなくて、むしろうちのペース持ってくくらいで」


…最初は、なんだこいつって思ってた。


まじムカつくやつだって思ってた。


「しかも急にうちのこと好きだとか言い出すし、嫌いだって言ってんのにしつこいし。ホント、バカなんじゃないかって思ってた」


この短期間にいろいろあったなって、思い出してクスッと笑みがこぼれる。


「…でも、今までにないタイプで、新鮮な気持ちもあった。


付き合う前に2回もキスされて、1回目はやり過ごせたけど、2回目はうちにも気持ちがあったからどうしていいか分かんなかった。


気づいたら、いつのまにかうちの心の中には栗崎がいたよ」


うっとおしいって思っても、素直になれなくても、うちは気づかないうちに栗崎に恋をしていた。


顔をあげて栗崎と視線を合わせる。


「栗崎と居ると、心が落ち着く。変に音立てたり、ドキドキしたりするけど、安心感がある。


うちが不良っぽくなくなったんだとしたら、それは栗崎のおかげだよ。


うちを変えてくれたのは、栗崎だよ」


言ってニコッと笑えば、目を見開いたまま固まってしまった。


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