時雨の夜に
「俺で……いいの……?
信じてないかもしれないけど、デートの日は──つーか、会う度に必ず雨が降るんだぞ……?」


それでもいいのか、と目を真ん丸にしたシグレが、つかえつかえ言った。


私は何も言わずに大きく二度うなずく。


「さっきシグレさんが言ったんですよ、『自分らしさ』がなきゃ、楽しくないんだって」


たとえ、その『自分らしさ』が、生来稀に見る『雨男』であるとしても──。











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