不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「へと……なんで?」
オレとリンの手がもう一度つながれたことに疑問を感じた。
それでも心臓バクバクだ。
「……こうしていると、こけても大丈夫、ですよ……」
リンはうつむきながら言った。
暗くてよくわからないが、これはお互い恥ずかしい状況じゃないのか?
うう……。
「……こけたら道連れじゃねえか」
「そのときは、そのときですよ」
リンにそう返された。
少しの間話していたつもりだったが、すでに周りに生徒はいなくなっていた。
オレたち二人だけ、階段を下りていた。
つないで汗ばんだ手。
なんとなく気まずく思いながら、オレたちは一言も話せずにいた。
やがて、宿泊施設ももう少しというところで、リンが立ち止まる。
外灯もすぐそばにあり、リンの表情がわかった。
――いつも以上に真剣な表情が。
「……少し、話があります」
「……何だよ」
手をつないだままだと、オレの心が見透かされそうな気がした。
「……ナオキさん、私のこと可哀想な人だと思っていませんか?」
「は?」
思わず聞き返してしまうが、リンの顔は揺るがない。
可哀想な人。
思い当たる節がないと言えば嘘になる。
――歴史博物館でリンが一人でいたこと。
――夕食のとき、リン一人座る席を探して、立ちほうけていたこと。
「……リンが、周りから孤立していたこと」