不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「じゃあこれで解散かな?」
日も暮れかかっている。
バスや他の交通機関で帰る人間もいるから、これから遊びに行こうなんて、サヤも軽く口にできなかっただろう。
かく言うオレもバスの時間が気になる一人だ。
「解散、か」
そして、オレがその方向に話をすすめたかったところもある。
「あたしたちは徒歩だけど、二人は?」
サヤが言う『あたしたち』はおそらくエイヤが含まれているんだろう。
二人は初対面とは思えないほど気が知れている、そんな仲に見えた。
「私はバスです」
「オレもだ」
リンもバスらしい。
「じゃあここで解散だね」
話しながら歩いて、気が付けば校門まで来ていた。
「あたしたちはバス停と逆方向。じゃあねー。また明日ー」
サヤはエイヤの手を引き、空いた手を大きく振った。
「あ、はい」
リンは小さく手を振った。
「じゃあな」
オレは答えただけだった。
二人が角を曲がり、見えなくなったところで、オレとリンは歩き出した。
バス停はすぐそこだ。
ベンチに腰かけ、バスを待った。
「あと五分くらいで来ます」
そんなリンの言葉で、会話は途切れた。