不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「あんまりやると体、壊しますよ」

確かにそうかもしれない。

まあ自分にしてみたら、

「読んでる途中でよく寝なかったと思う」

読書っていうのは催眠作用があるものだと思っていた。

「まあ、そうならナオキさんは変わったんでしょう」

そうかもしれない。

「……この調子で国語の成績が上がるといいですね」

そうかもしれない。





「おはよう、ナオキ、ちゃんと夜は寝たほうがいいよ」

バスに乗り込んできた藤沢が自然な流れでオレに注意する。

「あんまり授業を寝るものじゃないよ」

オレは普段から授業中寝ているんだ。

「今日は一日中寝通すぞ」

「寝通す……すごい言葉だね」

「それで成績が悪くなったら私のせいみたいじゃないですか」

その言葉に藤沢がきょとんとする。

「……どういう意味?」

どういう意味もなにも。

「そのままの意味だろ」

藤沢は何か思案しているようだ。

「ああ……うん。ああ、うん」

何で二回言った。

大事なことだから二回言ったのか?

「二人とも……僕の知らないうちに遠いところに行ってしまったんだね」



藤沢の言葉の意味がわからない。


< 227 / 248 >

この作品をシェア

pagetop