不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「あんまりやると体、壊しますよ」
確かにそうかもしれない。
まあ自分にしてみたら、
「読んでる途中でよく寝なかったと思う」
読書っていうのは催眠作用があるものだと思っていた。
「まあ、そうならナオキさんは変わったんでしょう」
そうかもしれない。
「……この調子で国語の成績が上がるといいですね」
そうかもしれない。
「おはよう、ナオキ、ちゃんと夜は寝たほうがいいよ」
バスに乗り込んできた藤沢が自然な流れでオレに注意する。
「あんまり授業を寝るものじゃないよ」
オレは普段から授業中寝ているんだ。
「今日は一日中寝通すぞ」
「寝通す……すごい言葉だね」
「それで成績が悪くなったら私のせいみたいじゃないですか」
その言葉に藤沢がきょとんとする。
「……どういう意味?」
どういう意味もなにも。
「そのままの意味だろ」
藤沢は何か思案しているようだ。
「ああ……うん。ああ、うん」
何で二回言った。
大事なことだから二回言ったのか?
「二人とも……僕の知らないうちに遠いところに行ってしまったんだね」
?
藤沢の言葉の意味がわからない。