はないちもんめ
車内を出ると
フェリー独特な
臭いが鼻につく。
タールの臭いだろうか?
波に
緩やかに
揺れるフェリー

早紀は
恵の小さな手を
しっかりと
握り締める。

上へと続く階段を
目指す。

階段を上がっている
途中
海が見える。
そして
今までいた港が
小さく見える。

「私達がいた港、あんなに小さく見える。フェリーって結構、早いんだね」

早紀が
徐々に小さくなる港を 見ながら
伝えてきたので
ここは私の出番だと
思いながら
早紀に伝える。

「このフェリーの速度は13ノット、時速にして約24Kmだよ」

すると早紀は
興味なさそうに
生返事をする。

「ふ~ん、案外、遅いんだね。上に行ってジュースを飲もう。上のが、もっと眺めが良いよ」

私が期待していた
言葉は
返って来なかった。
早紀は
恵の手を繋ぎ
そそくさと階段を
上がってしまう。

私も早紀と恵を
追う様に
階段を上がる。

フェリーの階段を
登りきると
心地よい風が
流れていて
その風に乗りながら
フェリーの後を
ついて来るかの様に
ウミネコ達が
飛んでいる。

「うわぁ~、やっぱり、気持ちいいね」

自然と言葉がでる
早紀と私。
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