たべちゃいたいほど、恋してる。
「………だぁぁああああ!!」
そんな沈黙を大きな叫び声で破ったのは今度は龍之介の方で。
はぁぁー、という盛大な溜息とともにガシガシと右手で頭を掻きながらその場に座り込む龍之介。
あまりに突然の龍之介の行動に優衣は目をぱちぱちさせて龍之介を見つめるしかない。
すると次の瞬間、腕を引かれた感覚と同時にぐらりと体が前に揺れた。
(へ?え、何!?)
突如真っ暗になった視界に混乱する優衣の脳内。
しかし、ふわりと鼻を掠めた香りと体を包む腕の感触に龍之介に抱き締められたのだと理解する。
もちろん視界は相変わらず塞がれたままなのだが。
それでも間違いないはずだ。
(龍くんの、匂いだ)