たべちゃいたいほど、恋してる。
優衣にとって昨日の今日で龍之介に声をかけることはとてつもなく勇気のいる行動だった。
昨夜緊張のなかかけた電話にも出てもらうことが出来ず、結局あのままの状態が続いている二人。
何といっても気まずいことこの上ない。
それでも優衣は龍之介の怪我が心配で。
「龍く…」
ぐっと喉の奥から声を絞りだす。
しかし
「触んな」
返ってきた拒絶の言葉。
それは鋭く尖った氷のように冷たく優衣の心臓に突き刺さる。
痛い、なんてものではない。
息さえ止まってしまいそうなほどの苦しみ。
優衣は龍之介のその言葉に動くことが出来なくなってしまった。
僅かに伸ばした手は行き場を失い宙を彷徨う。