たべちゃいたいほど、恋してる。
「お前には関係ねぇだろ」
そんな優衣に構うことなく淡々と言葉を続けていく龍之介。
ぐさり、と何処かで音がした気がした。
ナイフのように鋭く氷のように暖かさのない瞳。
その瞳は確かに優衣の方を見ているはずなのに。
そこに優衣の姿が映ることはない。
今まで一度だって向けられたことのなかった猛獣のような視線に恐怖を覚える優衣。
同時に優衣の体を大きな孤独感が包む。
初めて見たはずのその瞳にはどこか見覚えがあった。
いや、確かに見たことがあるのだ。
優衣の記憶の中に間違いなく存在するそれ。
何度も、何度も見てきた目の奥の色。
(お父さんと、一緒だ)
そして本能が悟る。
捨てられてしまうのだ、と。