たべちゃいたいほど、恋してる。
あの日から一度だって聞くことが出来なかった優しい声。
それだけで、優衣の瞳は決壊したダムのようにどんどんと涙を流し始めた。
ゆっくりと溶けて暖かくなる心。
だが、それを打ち壊すように再び聞こえてきたのは階段を上がる足音。
誰の、なんて考える必要はない。
家の中には優衣と彼しかいないのだから。
少しずつ大きくなるその音に暖まったはずの心が急速に冷えていく。
またしても凍ったように動かなくなる体。
背中にはつーっと嫌な汗が伝う。
無意識に浅くなっていく呼吸。
『優衣、優衣どうした?』
そんな優衣の変化に気付いたであろう龍之介が困惑気味に優衣の名前を呼んだ。
徐々に近づいてくる足音に携帯を持つ手は震えて。