たべちゃいたいほど、恋してる。
腕の中でじたばたするその姿は、さながら狼に捕まり足掻く兎のようで。
相変わらずまったく怖くはないのだが。
それでも必死に噛み付いてくる優衣に龍之介の口から再び深い溜息が零れた。
「それはお前が俺に釣り合わないんじゃなくて、俺がお前に釣り合わないって話だろ」
馬鹿なのか?とコツコツと優衣の額を人差し指で叩き眉を寄せる龍之介。
その顔にはありありと呆れの色が浮かんでいて。
「ちがう、よー」
しかし、龍之介の言葉に納得出来ない優衣。
困ったような顔をしている龍之介に優衣は首が取れそうなほど勢い良く首を振って否定する。
(釣り合ってないのは私、でしょ?)
それは優衣の中から決して消えることのない考え。