たべちゃいたいほど、恋してる。




龍之介が自分に釣り合っていない。

そんな方程式など優衣の中には微塵も存在しないのだ。

そんな発想すら浮かんでこない。


いつだって優衣にとって龍之介は眩しい太陽のような存在で。

暖かく優衣を包んでくれる。


そんな彼が自分に釣り合わないなんて。

そんなこと天地が引っ繰り返ってもあるわけがない。


もしそんなふうに見えているのだとしたら、学校中みんなが眼科に行くべきだと本気で思っている。




「違くないんだって」




しかしその実情は龍之介の言う通りで。

いつだって噂されるのは龍之介の方なのだ。


もともと巷では【孤高の一匹狼】などと(大変不本意ではあるが)呼ばれていた龍之介は歩けばその場に道が出来るような男。

もちろん悪い意味で、だが。




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