colors
学校について教室に入ると昨日と同じようにざわついていた。
紅乃が言っていたとおり、いつもこのような雰囲気なのだろう。
自分の席の方を見ると、まだ紅乃は来ていないようで二つとも空席だった。
私は藍華たちと軽く会話を交わすと自分の席に着いた。


「はよ朱嘉」
「おはよー香狩サン♪」


私が席に着くのを見計らったようにタイミングよく明と恵一がやってきた。


「おはよ明。恵一」

「なぁなぁあの本読んだ?」

「うん。読んだよ」


私ははい。と鞄からこの前借りた『虹の果てに』を明に渡した。


「面白かったろ?」

「うん。主人公とヒロインの漫才っぽいとこあったよね。そこが一番面白かったかな」

「だろー!?俺もそこ好きなんだよ♪」


私と明が話している横で恵一は何故か面白くなさそうな顔をしていた。


「こらー!!俺が話に入れないような話すんなー!!」


切ないじゃんか!!と恵一が突然話に入ってきた。


「あれ?恵一って小説とか読まないの?」

「読まないよ!!小さい文字みてたら眠くなる!!」

「あー・・・」


私はなんとなくわかる気がして言葉を濁した。


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