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「朱嘉ー?」


SHRが終わり、紅乃と話していると藍華と紫希が大きめの袋を持ってやってきた。


「何?」

「体操服持ってきた?」

「あー・・・前の学校のを持ってきたよ?」


今日は一時間目が体育らしく、昨日石ちゃんになんども言われたおかげで忘れることはな
かった。


「ならよかった」


藍華は私の言葉に安堵のため息をついた。


「ねぇ、今体育って何やってるの?」


私は更衣室に向かいながら隣を歩く紫希に聞いた。


「今ねー短距離走をやってるんだよー・・・」


紫希は短距離が嫌いなんだろう。かわいい顔を少しゆがめ、嫌そうに答える。


「紫希は短距離が嫌いなの?」

「ううん。嫌いってほどじゃないけど・・・」


私の質問に、紫希は言葉をにごらせる。


「今日の担当の先生がね、川崎なの」

「川崎?」

誰?と私が聞くと、紫希の変わりに紅乃が答えた。


「いまどき珍しい、超熱血体育教師。おまけにサドで変態教師」

「わぁ・・・」


ずらりと並べられた悪評の元を私は素直に駄目じゃんと思った。


「紫希だけじゃなく、私もあの先生は苦手かな」

「私も」


紅乃の言葉から川崎という教師はよほどいろんな女生徒から嫌われているのだろう。
現に藍華や紅乃も苦手としているようだった。


「ふぅん。どの学校にもいるもんだね、そんな嫌われ役の教師って」

「前の学校にもいたの?」

「なんの役にも立たない駄目教師がね」

「あはは!なにそれー」


私は目を閉じて前の学校にいた駄目教師の情けない顔を思い出した。


「何をしても空回りするのに何かをして、なのに肝心のことはしない。
だからあんまり生徒たちには好かれてなかったね」

「駄目じゃんそれー」


あはは!!と笑いながらグラウンドに向かって行くと、そこにはもう数人の生徒たちが集まっていた。
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