だって君が好きだから。


「帰るのさみしい?」




「すごいさみしい…」




「はは、可愛いな。
俺だってさみしいよ」




あたしの手をギュッと
握りしめてくれる。
なるべくゆっくり歩いて
家まで帰る。




「優梨〜」




げっ、まずいこの声は…




「あっ、晃〜
じゃぁまたね、修!」




「なんで?」




「え、何?」




「なんであいつが来たから
バイバイなわけ?
意味わかんねぇー。」




「あっ、修!」




修はそのまま来た道を
戻っていく。


どうしよ…




「優梨、こんな時間まで
何してんの?早く帰んぞ」



そう言ってあたしの
腕を掴む晃。




「待って、修が行っちゃう」




「またあしたでいいだろ」




「…修。」





「そんなに好きなの?」





「…関係ないでしょ。晃には。」




「あるから…。
優梨は気づいてないかも
知んねーけどさ…俺」


「忘れ物した」



修が晃を遮ってそう言った。




「修…。
忘れ物って何?」




「うん、来て?」




「えっ、…うん。
晃ごめんね、また今度」




あたしがそう言うと
晃は何も言わずに帰って行った。





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