私、不良です
1階に着き“開”ボタンを押してたら
男子が先に降り、ドアを抑えて
「どうぞ」なんて言った。
このエレベーターでは普通の行いなのだろうか。
手慣れているのがやけにもどかしくて
礼も言わず無言でその場から立ち去った。
さっきとは違う頬の高潮だ。
体は地上の人間味を
取り戻そうとしている。
表の器はそれを拒む。
―汚れたくないから。
性悪説は本当だと思う。
だから人を嫌う。
自分さえもだ。
コンビニでいつもの食べ物をレジに持っていくと
店員に話しかけられた。
「お前ってオリ?」
私ってそんな有名だっけ。
顔をしかめると
「人違いか」と店員は私の商品に目を移す。
「そうだけど」
私は冷めた口調で言った。
この人が誰だか分かる。
初対面だけど知っている。
彼は身長が高くがっしりした肩を持ち
髪は銀色の短髪だ。
彼は目を見開いて私を見た。
「私になんの用?セキ」