私、不良です


「アリスから聞いてるのか」

彼は口角を上げた。
どうやらアリスは私のことも
セキに教えたらしい。

一か八かで聞いてみた事が当たっていた。

しかも今のセキはリーゼントではない。

「私、スキンとは関係ないから」

「知ってる」

まるでそんな事は興味ない
と言っているような口調だ。

「学校ではアリス、どんな感じだ?」

なんだそっちか。

「放課後しか知らないけど
至って普通だよ」

付け足しとして
「最近は鶴を折ってる」
と言うとこれはセキも首を傾げた。

「鶴?」

「スキンの弟のために千羽鶴を作ってるの」

アリスが伝えてない事を
言わないほうがよかったのか。
こいつはスキンの敵であるのだから。
だけどこいつのオーラからして
敵の弱みに漬け込む奴ではなさそうだ。

セキは顔を険しくして考え込む。

「スキンには弟じゃなくて
兄がいると聞いたはずだが…」

まさか。

「私はスキン自身から“弟がいる”って聞いた」

「じゃあ俺の勘違いか」

この話はすぐに終わった。
スキンに関しては勝ち負け以外に興味がないらしい。


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