私、不良です

話題はまたアリスの話になる。

「もしかしてあんたって
アリスのことが好きなの?」

焦れったくなって短刀直入に聞くと
セキはぎょっとした顔をしたが
顔を背けて「関係ないだろ」と呟いた。
不良でもちゃんとした恋はするみたいだ。

「アリスはスキンを倒してから
あんたを倒すって言ってたよ」

ちょっとあざけ笑って言ってみると
セキは深刻そうな顔をした。

「まだ言ってんのかあいつ…」

「まだ?」

セキは溜め息をする。
初代の帝王も溜め息をつくんだな。

「俺がケンカばっかりしているから
あいつまで不良の道に連れ込んじまった」

「あんたら昔からな仲なの?」

「ああ、幼なじみだ」

憧れか。

「だからアリスには恋愛感情というか
心配なんだよ、俺のせいで…」

「ふーん」

アリスはアリスなりに決心してるようだけど。

「まっ、アリスがあんたのために
スキンを倒すって言ってるんだから」

金を払って商品が入ったビニール袋を持つ。

「その前に俺がスキンを倒す」

意地を張るような言い方が
子供っぽく感じた。

「楽しみにしてる」

軽快な足取りで出口に向かうと
「ありがとうございました」と
後ろから男らしい声が聞こえた。



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