トーキョークラブ






『響子とだけは離れたくない』




潤のあの真剣な眼差しがフラッシュバックして、この言葉ばかりがあたしの脳内を駆け巡っていく。


あれから、あたしは
ありとあらゆることを考えた。






あたしが潤の言葉を否定したら。


潤は一体、どうするつもりなのだろう?THE EIGHTYsを捨てるのだろうか?




確かに、潤にはインディーズではもったいないほどの実力があるし、世渡り上手なところもある。



しかし、THE EIGHTYsの数々の曲を作ってきたのは潤であり、THE EIGHTYsの核としてリーダーシップを執ってきたのも潤だ。

そんな潤が脱退となると
それはTHE EIGHTYsの活動へのピリオドを意味する。




それは、あたしが潤の言葉を受け入れても同じ結果になるのだ。





小さなイヤホンでこれまでの自分達の曲を聴きながら、久しぶりに空を仰ぎ、あたしはまた潤の言葉に悩まされる。




渋谷の空は
相変わらず、濁っていた。






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