夏の名前



「歌うのも時々辛くなるし、もちろん運動はできない。頻繁に貧血になるし、空気の悪いところへは行けない。…まだあるけど?」



一気に言い切ると、真っ直ぐこちらを見つめてきた。



「これのどこがいいんですか?」



何を言っていいのか、わからなくなった。



「たしかに大変だろうけど、それを上回るいい所があるじゃん。」



…こんなことが言いたいんじゃない。



「答えになってません!」



ニノの苛立ちが伝わってきた。



「…ニノが普通の男の子だったら、こういう歌は生まれないかもよ?」



「え?」



「い…いや、なんでもない!ごめん。」






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