夏、僕らは変わります。
取り残される、というのはあまりにも自分勝手な言い方かもしれない。
自分で勉強をしないでおいて、まわりに当たるのはおかしい。
僕はなぜか自分の理想とは反対の方向へ進んでゆく思考に嫌気がさした。



「隆哉君、斎藤君が呼んでるよー」
「は?」

1番廊下に近い場所にいた女子が僕のことを呼ぶ。
斎藤が呼んでいる、と。僕は「またか」と、少し不機嫌目に呟いた。


「お前どんだけ好かれてんだよ」
「できてんじゃねーの」

まわりで茶化すクラスメイト。
僕があいつのことを嫌っているのは全員分かっているはずだ。
よく皆にお前は顔に出やすい、といわれる。
だからからかわれるのか。


僕はそのへんで笑う奴等を適当にあしらい廊下に出た。






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