夏、僕らは変わります。
「斎藤……」
僕はかなり迷惑そうな声で彼の方を見た。
「斎藤ってなんだよ!いい加減名字呼びやめよーぜ!なんか親しくねーみてぇじゃん」
親しくないんだよ。
こいつは何度僕が自分に構うな、とアピールしても全くと言っていいほどものともしないのだ。


僕がそんなことを考えているとなぜかそいつは自転車から降り、そのまま自転車を引いたまま僕の隣に並んだ。


「……なに」
「なにって……一緒に登校するだけ」
「……なんで」
「なんでって……。お前も~……くでーよ!」


俺のこと嫌いなのかよ、なんて今更になってぬかした。
今まで気づいてなかった方が怖いよ。
そうなのだ。僕はこいつが大嫌いなのだ。

だがそんなことはどうでもいいとして。


「もうお前行けよ」
「もう学校じゃん」

そう言われてしまうとたとえ本心でも「だから嫌なんだよ」とは言えない。
ちなみにだから嫌というのは、コイツと友達だと思われることが嫌なんだ。
はっきりいってコイツは学年全体から好かれた存在ではない。
なんだか気まぐれで、相手のことを考えない発言をよくしているからまぁ、自業自得だろうと思う。

だから僕だって現にこいつを嫌いなわけだし。









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