君に堕ちてしまう。
「あたし、帰る。」
スカートを抑えながら立ち上がった。
彼はあたしの方も見ずに
「おー。」ただそれだけ返事をした。
「なんだか、君とはいい友達になれそう。」
「…だね。」
「またね」
って言っても返事なし。
階段でもう一度振り返ってみた。
さっきからずっと空を見てる。
なにかあるのかな。
あたしも立ったまま空を見上げてみた。
青いそらでちいさな雲たちが
泳いでるみたい。
なんか…こうしてたら
雲に連れていかれそう。
気持ちいい。このまま
つれてってくれたらいいのに。
もう彼には声をかけずに
あたしは階段を
おりてった。