月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
「で、こっちは新人のマネージャーだ」

「よろしくお願いします」

これまた打ち合わせ通りに頭を下げる達郎兄ちゃん。

「マネージャーさんにしてはずいぶん男前ね」

達郎兄ちゃんを見ながら、浜口理子は言った。

「…でも良かったじゃない。翼ちゃんの事務所、ようやく人が増えてきたのね」

ん?

「翼ちゃん、これからも稼いであげてね!」

浜口理子は、そう言って立ち去っていった。

「なんか、TVで見るのとイメージ違いますね」

湯月くんが、あたしが思っていた事と同じ感想を口にした。

「このCMシリーズ、最初は浜口理子が主役だったんだ」

杉田さんはあたりを気にしながら、こっそり教えてくれた。

「でも直前になって、スポンサーが翼を推したんで、浜口理子は主役を外されてしまった。それ以来、翼にはあたりがキツいんだ」

へー、そんな裏事情が。

うーん、あるイミ芸能界らしいわー。

「社長、そんなこと一般の方に教えなくても…」

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