月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
そう言って達郎兄ちゃんはメイク台の下に手を入れた。

立ち上がった時、その両手の中にはあるものがあった。

カチコチと音を鳴らす置き時計。

それから伸びる赤と青の配線は、時計の隣にある茶色い筒につながっていた。

その茶色い筒に書かれていた文字は【Dynamite】
…ダイナマイト!?

「騒ぐなよ」

叫び声をあげそうになったあたしを、達郎兄ちゃんの目が制した。

メイク台の上に爆弾を置くと、達郎兄ちゃんは大きく息を吐いた。

見た事もない達郎兄ちゃんの真剣なまなざしが、事態を物語っている。

杉田さんも翼さんも湯月くんも、呼吸を忘れたかのように、達郎兄ちゃんの一挙一動に見入っていた。

達郎兄ちゃんはスーツの内ポケットに、ゆっくりと手を入れた。

そこから取り出したのはマーブルチョコ。

え、マーブルチョコ?

…マーブルチョコで一体何をするつもりなんだろう…?

そう思った次の瞬間、達郎兄ちゃんはこうつぶやいた。

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