鉄壁魔王と勇者
…フォン。

呼び出したのに、中々使われない事に対して抗議するように、魔王の手の上にある武器が、一際高く音を立てた。

(はっ…。いかん、コレでは護衛達を叱れないではないか!)

魔王は、我に返り、勇者を温度の感じられない瞳で見やる。

「言いたい事は、それだけか?」

告白紛いの言葉を受けたのに、抑揚の無い声でたずねる魔王。

内心の動揺は、微塵も外側からは伺(ウカガ)えない。
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