苦くて甘い恋愛中毒


エレベーターから降りて、自分の部屋へと向かっていく要と、ただそれについていくだけの私。

ドアを開けて、表情だけで中へ入るように促す。


「おい、早く入れ」

なかなか入ろうとしないに、少し苛立った口調で言う。

「いや、入りたくない」

私が拒否したことに少し驚いた顔を見せる。
無理もない、この3年半拒んだことなんて1度もなかったから。

私が、要のことを拒むはずがない。
そんなことできない。

そう思ってるであろうその余裕が、むかつく。


「あっそ」

私の反抗なんて、屁でもないような顔をして。
これ以上言っても無駄だと判断したのか、今度は強行手段に出た。

私の腕を掴んで、無理矢理中へ引き入れる。
ドアの閉まる音が、やけに重く響いた。


「ちょっ……なにするの! やめてよ、離して!」

「うるさい黙れ」

必死の抵抗も、たったひと言で片付けられる。

私を中に引き入れると、そのままドアに押し付けた。
そのまま降りかかってくる唇に、思わず流されそうになった。


悔しい。
今度こそ、文句のひとつも言ってやるって、そう思ったのに。

結局私は、要を拒めない。
受け入れることしか出来ないのだ。


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