苦くて甘い恋愛中毒


そのまま、いつものように要のマンションへと直行した。
駐車場に車を停めて、彼はひとりさっさと部屋に向かう。


もう、いったいなんなのよ。
今日は機嫌がいいのかと思いきや、急に不機嫌になって。
連れてくるだけ連れてきて私のことを待とうともしない。

いくら私でも限界ってものがある。
いい加減腹が立つし、だいたいパーティーであんなに素っ気なくしておきながら、あたり前のように私を連れて帰って。
のこのことついてくる私も私だけど。


いつもなら、また気分が沈むところだけど、これまでにつもりに積もった怒りがふつふつとわき上がっている今は、それすらさらに怒りを助長するための道具となる。

3年半分の不安とか涙とか、そういったもの全部。
思い出しただけでも、苛立ちが募る。

なんでこの男はこんなに勝手なの。
私をなんだと思ってるの。

たしかに、なにも期待しないって言ったのは私かもしれないけど、それならそれでもっとほかにあったんじゃないの? 
都合のいい女だと思ってるなら、それに徹してくれればいいのに。

期待させるようなことを言ってみたり、誕生日にわざわざ連絡してきたり、合い鍵渡したり、今日のように、あたり前のように連れて帰ったり。

私の気持ちを知ってるくせに、どこまでずるいの。


中途半端な夢なら、見せないでよ。


< 99 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop