苦くて甘い恋愛中毒
「三ヶ月忙しいだろうけど、一度くらい連絡してね」
たった一言でもいいから、電話越しにでも声を聞けたら、どんな多忙なスケジュールもこなせる気がする。
「多分な。てか、お前がしてこいよ」
「多分って! え、私が?」
「大体さぁ。いっつも俺からで、一回も連絡してきたことないだろ」
考えてみればそうかもしれない。
三年間要からの連絡を待つばかりで、私から連絡したことなんて、なかった。
いや、でもそれは、ほら……
「普通にお前の方が薄情だよなぁ」
にやにやと笑いながら煙草を吹かす彼に、なんにも言い返せないのがくやしい。
銀色の灰皿に煙草を押し付ける。
その仕草で、もう〝時間〟なのだと悟った。
―――!
突然のことに反応できなかった。
要の着ている上着の色で視界が埋めつくされ、鼻は要の匂いを感じ取る。
そこでようやく、要の胸の中にいるのだと分かった。
耳元で囁く要の息がくすぐったい。
さらにその内容に思わず頬を赤らめた私の頭を撫で、搭乗ゲートへと向かって行った。
せっかく拭ってもらったのに、また涙がこぼれる。
今度は自分で涙を拭いて、空を見上げた。
飛行機が飛び立っていく景色はあまりに綺麗で、心まで晴れていく。
頭の中で、要が囁いた言葉がよみがえった。
『向こう着いたら覚悟しとけよ。寂しさなんか感じる暇もないほど抱いてやるから』
馬鹿じゃないの。
そう思ったけど、それすらも待ち遠しいなんて、本当に重症だ。