苦くて甘い恋愛中毒
またも鳴り響くチャイムの音にはっと我に返る。
そうだ、忘れてた。
上からカーディガンを羽織り玄関へ向かうと、どうやら宅配便のようだった。
随分と待たせてしまって申し訳ないと思いつつ、お礼を告げ荷物を受け取る。
贈り主は実家のお母さんからだった。
少し大きめの段ボールを開くと、一番上に手紙が入っていた。
『菜穂、お誕生日おめでとう。プレゼントはお母さんとお父さんとお姉ちゃんからです。また帰ってきなさいね。体に気をつけて』
私が実家に帰ったときに欲しいと言っていたランプだった。
夕日みたいなオレンジのランプは一目で気に入って、どうしても欲しかったけど、輸入品のそれは給料前に衝動買いするには少しばかり高かったのだ。
大方、お姉ちゃんあたりが覚えていてくれて買ってきてくれたんだろう。
手紙を見て、ようやく思い出す。
今日、10月12日は私の25回目の誕生日だ。
要に初めて会った頃は、まだ22にもなっていなかったのに。
確実に時間は流れていると実感する。
枕もとに置いてあったiPhoneを開くと、何人かの友人や同僚からおめでとうメッセージが届いていた。
やっぱりいくつになっても、誕生日を祝われるというのはうれしいというもの。
卒業以来会っていない学生時代の友だちもちらほら見られ、もう何年もたっているのに変わらず連絡を入れてくれることに、思わず顔が綻ぶ。
その中に、朋佳の名前も見つけた。
朋佳は大学卒業と同時に結婚し、子供がひとり生まれて、今はたしかふたり目を妊娠中だ。
主に私の多忙さゆえなかなか予定が合わず、今では一年に一度会うか会わないかの関係になっていた。
あんな夢を見た直後だったからか、無性に昔が懐かしくなり、気が付くと朋佳に『今日会えない?』とメールを送っていた。