ペットショップ MARIMO

人間焦った時には思ってもいない力が溢れてくるものだ。

自分の2倍以上あるシンシの体を押して、玄関から陰になる部分に身を隠そうとする。
体を押され、目を覚ましたようだ。

「何ですか? どうしま…」
『ガサ…』

近づく物音で全てを察知してくれた。

「誰か帰って来ちゃったみたい」

小声ではやし立て、ゲージの裏側に身を隠したが、ゲージは全面編み目状なので、丸見えだった。

「…ふぅ…。」

男の声。
必死で息を殺し、固まる。

上着やら荷物やらをその辺に置き去りにして、隣の部屋へ入っていった。
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