ペットショップ MARIMO

葉瑠も動物は嫌いではない。しばらく眺めていたいと思うがそうも行かない。

「なんて名前?」

フェレットは胴体を持ち上げ、ゲージの格子につかまり立ちをする。

「僕? 僕ね、ミルクって名前付けてもらったの」

そう言って『えへへ』と笑った。

改めてゲージを見ると、所々、ピンクの塗装が剥がれて、金属が剥き出しになっている所もある。噛んでいるのだろう。

「なんかね、ミルクの飼い主さんが、色々噛まれて困ってるって言ってたんだよね。何か噛んだもの覚えてる?」

質問しながら辺りを見回すが、一見する限りでは目立った外傷が無いように思える。

「んとね、この間、ここから出してもらった時に、紐がいっぱいあったから噛んじゃったんだ」

そう言ってまた『えへへ』と笑う。

「そしたらね、ここから出してもらえなくなっちゃったの。何でかなぁ」

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