私だけの王子さま
「…もしかして、委員長、家に帰ってないのかなぁ…?」
デパートの屋上のクレープ屋。
麻智の買い物が終わり、
お茶をするために立ち寄った。
「うーん。あんなに真面目な委員長がねぇ…。
でも、柚季の話を聞いてるとその可能性もあるかもね」
麻智は出来上がったばかりのクレープを頬張りながら喋っている。
その椅子の両脇には買ったばかりの洋服が入った袋が大量に置いてあり、
短時間でよくこれだけ買ったな…と感心してしまうほどだった。
「何か…気になって仕方がないんだよね…」
そう言う私の手には、まだ一口も食べていないバニラアイス入りのクレープが握られている。
「あ!ちょっと柚季!垂れてる垂れてるっ!!」
麻智の大声に気付いた時にはもう遅かった。
強い日差しと私の体温のせいで、アイスクリームはドロドロ…。
「あーあ、もったいない…。柚季、いくらなんでもボーッとしすぎだよっ!」
甘いものが大好きな麻智から、説教をされてしまった。
「…だって…」