私だけの王子さま
だって…
怖いんだ。
今朝見た夢のように、委員長がどこかへ行ってしまうのではないか…
せっかく見つけたこの恋が、終わってしまうのではないか…って。
そう思うと、不安で不安で仕方ない。
すると、下を向いたまま黙っていた私の耳に、麻智の呆れたような声が届いた。
「柚季さぁ…。いつまでそんなマイナス思考を続ける気なの?」
「へ…?」
いつもならこういう時、慰めの言葉をかけてくれるはずなのに…。
そう思い、麻智を見ると、その目はいつになく真剣で。
これから、何か大切なことを言おうとしていることが感じ取れる。
「柚季、変わりたいんじゃないの?」
「……変わり…たいよ」
麻智がいつもと違う。
大好きなクレープ…まだ食べ掛けのはずなのに、それに目もくれていない…。
「麻智…?」
なんとか声をかけてみたけれど、心の中は不安でいっぱいだった。
「柚季?今から言うことは、厳しいことかもしれない。
でも、柚季のためだから。よく聞いて?」
「う…ん」
麻智の真っ直ぐな瞳に、私はただ頷くしかできなかった。
「単刀直入に言う。
今のままじゃ、柚季は変われない」