私だけの王子さま


咄嗟に急ブレーキをかけたアキラが、焦ったように私を見て怒鳴る。


「おまっ…何やってんだよ!!危ねーだろーがっ!!」


今までヘラヘラしてしたアキラも、この時はさすがに怒りを露にしていた。


でも、そんなことでは怯まない。
私は、溜まりに溜まった思いを一気に吐き出した。


「品定めって何?私は売り物じゃないんだよ!?
アンタも友だちも最低だよ!ふざけないでっ!!」


こんな侮辱を受けたのは初めてだ。

あまりにも頭に来ていたので、かなり早口になっていたと思う。


そんな私に、アキラは一瞬驚いたように目を見開いた後、すぐにまた落ち着いた表情に戻った。


そして、呆れたように言い放つ。


「……何だよ。人は外見だろ?お前だってそう言ってたじゃねーか」


「!!」


……ショックだった。


アキラの言ったことは、紛れもない事実だったから。


溢れそうになる涙を堪えながら、私はそっと車のドアを開ける。


「さよなら……」


パタン。


あまりにも悔しくて。


車を降りたとたん、大量の涙が溢れ出すのが分かった。














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