私だけの王子さま
プルルルル……
プルルルル……
電話越しに機械音が鳴り響く。
「もしかして、まだ帰ってないのかな」
麻智たちなら、あり得るかもしれない。
今までにもよく、オールでカラオケすることがあったし。
麻智は本当に、遊びと勉強のバランスがしっかり取れていて羨ましい。
プルルルル……
プルルルル……
なかなか出る気配がないので、そろそろ切ろうかと思っていた時、
“はいっ!もしもーしっ!”
麻智の、元気な声が聞こえた。
「もしもし、麻智?今大丈夫?」
“うん!さっき帰って来たところだよー。柚季は?今日お泊まりじゃなかったんだ?”
「……まさか、違うよ。ちょっと連絡するの忘れてただけ。それより、今日はありがとね、アリバイ作ってくれて」
“いやいや、いいってことよ!”
麻智の声を聞いていたら、会って話をしたくなった。