私だけの王子さま
委員長は、まだ疑っていたようだったけれど、私は、大丈夫だからと言い張った。
目の前で話をしている人がいるのにも関わらず、うわの空で別のことを考えていたなんて、言えるわけがない。
委員長も、それ以上は聞かない方が良いと思ったようで、再び花梨さんの方を向き話し出した。
「とりあえず、立ち話もなんなので、場所を移して話してもいいですか?」
「そうね、そうしましょ」
花梨さんは、そう言うと、事務所にいた他の職員に声をかけてから、私たちを別室へと案内してくれた。
カチャ…
ドアを開けて、電気のスイッチを押すと、そこは、向かい合わせのソファーの間に、テーブルが置かれているだけの、シンプルな部屋だった。
奥のソファーに、私と委員長、手前に花梨さんが座る。
何だか、面接が始まるみたいで落ち着かない。
すると、そんな私の様子に気付いた花梨さんが、申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさいね。こんな堅苦しい部屋で」
「あっ、いえ、そんな!」
私は慌てて、否定をした。