緑の風がそよぐとき
わたしは、倫太郎のバイクにまたがる。
思ったより高さがあって怖い。
「しっかりつかまっとけよ」
倫太郎がわたしの腕を自分の腰に巻き付ける。
「ねえ、どこ行くの?」
わたしの声が聞こえたのか聞こえなかったのか、倫太郎はバイクを発進させた。
最初は怖くて目が開けられなかったけど、だんだんと慣れてくると、スピード感が気持ちいい。
嫌なことも忘れられそうな気がする。
倫太郎がバイク好きなのもちょっとわかるな。
そんなことを思っていたら、バイクは止まり、そこは海沿いの堤防だった。
バイクから降り、ヘルメットを脱ぐと、
「ここ、俺のお気に入りの場所」
倫太郎がいつもの笑顔で言った。
堤防沿いに、ぽつんと外灯が点いている場所。
その後、倫太郎が海の方を見たので、わたしも同じ方向を向く。