君と〜クリスマス・イヴ〜
「あーあ、考えてみると私と優希の出会いって変なの…」

「出会いなんて、そんなものだよ…」
マスターは、フッ…と微笑んでいた。


《カララン…》

「遅れて……ごめん」
息を切らしながら、優希は店内へと入って来た。

「優希…走ってきたの?」
「うん……遅れたから、少しでも早く行こうと」

私はフフッ…と笑っていた。


「そうだ……遅くなったけど、プレゼント」
何々?と覗き込むと、優希の手のひらの中に、洒落た模様の彫られたシルバーの指輪。

「ごめんね、実は残業は嘘なんだ…これ作ってて遅くなった」

手作りのシルバーリングを、私の薬指にはめてくれた。

「ありがとう…」
涙を浮かべて、嬉しそうに微笑むと優希は笑って言った。

「俺、お金無いからさ…でも、いつか絶対に七瀬に似合う指輪買ってあげるから…俺と結婚して下さい…」

「はいっ!」

「おめでとう〜七瀬ちゃん」
マスターと、麻由美さんが嬉しそうに拍手をしてくれた。

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