Monsoon Town
「そうだな、1回だけ藤堂と一緒にきたことはあるな」

そう言った陣内に、
「秘書の人とですか?」

那智は聞いた。

「けど…女の場合はお前が初めてだ、那智」

ドキン…と、また心臓が鳴った。

何で、心臓が鳴るんだろうか?

“初めて”だと言われたからだろうか?

“那智”と、名前で呼ばれたからだろうか?

顔が熱くなって行くのが、自分でもよくわかった。

熱いのは、目の前の鉄板のせいである。

鉄板が熱いから顔が熱いんだと、那智は自分に言い聞かせた。

「那智は、酒を飲んでも顔に出ない体質か?」

陣内がそんなことを聞いてきたので、
「えっ?」

那智は訳がわからなくて聞き返した。
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