Monsoon Town
「はい」

那智は首を縦に振ってうなずいて答えた。

「気に入ってもらえて光栄だ」

空っぽになったグラスに、陣内は再びワインを注いだ。

ワインだと、那智は思った。

陣内を例えるとするなら、赤ワインだと思った。

どうしてそんなことを思ったのか、自分でもよくわからなかった。

けど…陣内は、白ワインよりも赤ワインの方が似合っていると思った。

(同じワインのはずなのに)

グラスに残っている深紅の液体を見ながら、那智は思った。

「大丈夫か、那智」

陣内に声をかけられて、那智はハッと我に返った。
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