Monsoon Town
それに対して陣内はふうっと息を吐くと、
「そんな目立った格好をして、気づかないって言う方がよっぽどだ」
と、言い返した。

「ハハッ、そうですか」

男が白い歯を見せて笑った。

「さすが、陣内さん」

男が短い髪をかきあげた。

「それで、お前は誰だ?」

陣内が聞いた。

「えっ?」

聞き返した男に、
「お前は何者だと聞いている」

バリトンの声をさらに低くくして、陣内がもう1度聞いた。

男はふうっと息を吐くと、
「バレたら仕方ないですね」

クシャリと、切れ長の目を下げた。
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