Monsoon Town
バサッ…

その音に視線を向けると、陣内の両手からひまわりが落ちていた。

陣内は震えていた。

藤堂は目をそらすと、陣内の母親に視線を向けた。

彼女の手には大きな荷物があった。

お気に入りだと言っていた白いワンピースを身につけている。

そして、別人のような笑顔で母親は楽しそうに男と会話をしていた。

会話の内容は、聞こえなかった。

いや、全ての音が何も聞こえなかった。

自分たちだけ異世界へと放りこまれたみたいだと、藤堂は思った。

「――母さん…」

その声にハッとなると、陣内が涙を流していた。
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