Monsoon Town
「――ひまわり…?」

窓ガラスに映っていたのは、同じように涙を流しているひまわりだった。

「――陣内さん、見つけた…」

呟くようにそう言って、ひまわりは抱きしめる腕を強くした。

「――藤堂から聞いたんだな?」

そう聞いた陣内に、ひまわりは首を縦に振ってうなずいた。

「バカなヤツだと思っただろ?

母親に裏切られて、捨てられて、死んだ。

亡くなった母親の思いに縛られている俺は、本当にバカなヤツだろ?」

自虐的に呟いた陣内に、ひまわりは首を横に振った。

「――わたしが陣内さんのお母さんだったら、そんなことしません」

そう言ったひまわりの声は、震えていた。
< 335 / 433 >

この作品をシェア

pagetop